「介護・デイサービス業界でもウェブ広告は有効だろうか」「高齢者がターゲットの介護業界において、ウェブ広告で反響はでるのだろうか」など、ウェブ広告を始める際に、不安があると思います。ポスティングや新聞折込などの販促手法とは考え方が大きく異なるため、まずは紙施策と比較しながら特徴を解説した上で、介護・デイサービス業界でおすすめのウェブ広告媒体を4つ紹介します。
この記事では介護サービスのご利用者様の集客に向けたウェブ広告の解説となりますので、介護人材の求人方法については下記の記事で紹介しています。ぜひご覧ください。
目次
介護業界のウェブ広告 効果は出る?
利用者が高齢者である介護業界において、「高齢者向けにウェブ広告って効果出るの?」と疑問に感じる方もいらっしゃるでしょう。
介護業界の集客対象は、高齢者ご本人だけでなく、その子ども世代のご家族である50~60代メイン。この年齢層のスマホ利用率は上がってきているため、ウェブ広告は十分に有効な施策と言えます。
下記の表は年代別のSNS利用率です。50代では、LINEは86.3%、YouTubeは75.2%と、全年代の数値と比べても遜色ない割合が利用していることがわかります。また、60代では、いずれのSNSも他の年代よりは利用率が少ないものの、LINEとYouTubeは半数以上の人が利用しています。LINEは50~60代の方でも連絡手段として定着していると言えるでしょう。
介護業界では、ウェブ広告を主要な集客手段として利用している企業はまだまだ多くはないので、競合が少ない今始めることで、より費用も抑えながら、顧客獲得できるチャンスと捉えることもできるでしょう。
ウェブ広告についてのご相談は、こちらからお気軽にご連絡ください。
ウェブ広告とポスティング・新聞折込の違い
「紙の販促はやったことがあるけど、ウェブ広告はよくわからない…」そんなお問い合わせを頻繁にいただきます。まずは紙販促と比較し、ウェブ広告の特徴を理解しましょう。
ウェブ広告 | ポスティング | 新聞折込 | |
費用10万円で届けられる数 | ◎ (0.3円/回の場合)30万回の表示 |
〇 (5円/部の場合)2万戸程度 |
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ターゲティング精度 | ◎ | 〇 | △ |
反響測定 | ◎ デジタルで反響データを取得できる |
△ | △ |
実施の手軽さ | △ 広告代理店などに配信設計や運用を依頼する必要がある |
◎ チラシがあれば 自社で配布することもできる |
〇 新聞折込会社に依頼が必要。 |
情報の保存性 | △ ユーザーが興味を持たない限りはスルーされてしまう |
◎ 紙という有形物で手元に残る |
上記の表のとおり、ウェブ広告では「届けられる数」が紙販促よりも優れています。例えば、費用を10万円とした場合、ウェブ広告では30万回の表示が想定されますが、紙販促では2万人程度にとどまり、15倍の差となります。
また、ターゲティング精度についても、ウェブ広告ではスマホ・PC利用者の年齢、性別、位置情報、興味関心などの情報を取得できるため「施設から半径3km以内に住んでいる60代で、介護関連のキーワードで検索している人」など、具体的にターゲティングできることが可能です。
一方、紙ならではのメリットは「情報の保存性」です。紙という有形物であるからこそ、手元に残してもらえる可能性があります。興味を持ってもらえれば、チラシをもとに家族と話し合う可能性があります。ウェブ広告は表示されても、興味を持たれなければ刹那的な接触で終わってしまいますが、チラシは保存性があるため、ユーザーが情報を残しておくことにもつながりやすくなります。
ウェブとチラシの広告、それぞれに強みがありますので、得意分野を活かして使い分けていくことをおすすめします。
介護業界でのポスティングや新聞折込などのコツは下記の記事にまとめていますので、紙販促も検討されている方はご参照ください。
介護・デイサービス業界におすすめのウェブ広告 種類
初めてウェブ広告を検討する際、媒体が多く、悩む方が多いと思います。そのため、この章では介護業界でのおすすめ媒体を4つに絞りましたので、それぞれ紹介していきます。
ウェブ広告媒体選定の考え方
おすすめ媒体の紹介の前に、1点だけ重要な考え方を解説します。それは「媒体選定の考え方」です。さまざまなウェブ広告媒体がありますが、それぞれに得意・不得意があります。ウェブ広告の無駄打ちを防ぐためには、自社の販促目的に沿った媒体を選ぶことが重要です。
まずは最低限「知ってもらう広告」「より興味をもってもらう広告」「申し込んでもらう広告」の3つの分類があることを認識しておきましょう。初めてウェブ広告を実施する場合は、申し込んでもらう広告と知ってもらう広告から始めるのがおすすめ。以下ではそれぞれの代表的な媒体を4つ紹介します。
【申し込んでもらう広告①】Googleリスティング広告
Googleで検索したとき、検索結果上部に表示されるのがGoogleリスティング広告です。
例えば、65歳以上の方が「老人ホーム 世田谷」「介護 リハビリ」を検索した場合など、介護サービスへの意欲が高い人へ配信できるため、獲得に強い広告となります。
介護についての悩みは言語化がしやすく、不安解消のために検索する方も多いため、介護業界の販促としては有効的な媒体と言えます。また、広告バナーなど広告を始めるに当たってクリエイティブが不要なため始めやすく、限られた予算で初めて運用する場合には最もおすすめ媒体です。
Googleリスティング広告で集客効果を上げるには、「ご利用者様本人」「ご利用者様のご家族」のグループを分け、それぞれが興味のある広告文やキーワードの条件を分けることがコツです。
【申し込んでもらう広告②】Yahoo!リスティング広告
リスティング広告としては、検索エンジンの利用者数の多さからGoogleを推奨していますが、介護業界の場合Yahoo!でのリスティング広告もおすすめです。
Googleよりも利用者は少ないものの、Yahoo!の利用者層で最も多いのは55~64歳の年齢層。集客対象の層と重なるためGoogleよりもパフォーマンスが高くなる可能性があります。
出典:Yahoo! JAPAN 媒体資料 (2023年3月改訂版)
予算に余裕がある場合はGoogleとYahoo!の両方を実施して結果を検証し、よりパフォーマンスの高い方に寄り多く予算を投じていくことをおすすめします。
【申し込んでもらう広告③】Google/Yahoo!ディスプレイ広告のリターゲティング広告
次におすすめするのはGoogleディスプレイ広告の中のリターゲティングという配信方法です。聞きなれない用語だと思いますので、順番にざっくり解説いたします。
まずディスプレイ広告とは、上記の図のように閲覧しているウェブサイト内に表示される画像の広告です。配信面が多く配信費用を抑えやすいのが特徴です。
次にリターゲティング配信とは、リターゲティング=再度ターゲティングする、という意味です。一度、あるサービスに興味を持ったユーザーに再度思い出してもらうために繰り返し配信する仕組みです。見たことのある画像の広告が、複数のサイトで表示された経験があるかと思います。これは、特定のサイトへのクリックや閲覧などの情報をもとに、そのトピックについて「興味があるユーザーだ」と認識され、リターゲティングされているからなのです。
リターゲティング広告は、繰り返し表示させることで思い出してもらうことができるため、検討時の選択肢に残りやすくなります。
介護施設の集客など、お申込みまでに慎重に検討される商材の場合、検討期間が数カ月以上など比較的長くなる特徴があります。そのため、一度の接触ではなく、リターゲティング広告でリマインドさせることで、候補から漏れずに申し込み率UPの可能性を高めることができます。
【知ってもらう広告】LINE広告
LINE広告の一番の特徴はユーザーが多く、費用を抑えて沢山の人に届けられることです。日本国内の月間のユーザー数は9,400万人。(※1)国民の74%もの人が利用していることになります。(※2)
また、SNS利用者の39.6%は、「他のSNSを利用せずLINEのみ」という調査結果が出ています。「SNS広告」というグループで考えると、TwitterやFacebookなどもありますが、介護業界のメインターゲットである50~60代には、LINE広告は他のSNSよりも一層アプローチしやすいと考えられます。
※1 出展元:LINEのユーザーはどんな人
※2 日本人口1.257億人の想定 (2021年)
参照元:https://www.linebiz.com/jp/service/line-ads/
顧客を獲得するには、「申し込んでもらう広告」を実施することが近道ではありますが、顧客獲得ばかり行っていると、いつかは顕在層が枯渇します。申し込んでもらう広告と同時に、「知ってもらう広告」で自社の認知拡大を図ることが、ウェブ広告で中長期的に反響を出し続けるコツです。
【注意】画像が小さく表示されることを想定する
参照元:https://campus.line.biz/line-ads/courses/creative-tips/lessons/da-3-2-2
LINE広告はトークリストの上に表示されることが多いです。画像内に文字を入れても読めない可能性があり、それを想定したバナー広告の用意が必要です。小さく表示される場合の画像は個別で設定できるため、上記の図のように文字なしの画像に設定するといいでしょう。
広告運用費の配分例
運用する媒体がわかっても、どのくらいの費用になるか気になると思います。そこで、配信予算の分け方イメージを下記に提示します。下記の予算感の場合、獲得の優先順位が高いお客さまが多いため、獲得に強い媒体をメインとしています。実際に配信される際にご参照ください。※よくある例として、都内で店舗から半径5kmほどの配信エリアを想定しています。
■月10万円の場合の予算配分例
費用が10万円の場合は、Googleリスティング広告のみで始める方が多いです。獲得に強い媒体としてはユーザー数が多いだけでなく、広告バナーを作成する必要がないというメリットもあります。「他の媒体は利用しないの?」と感じる方もいると思いますが、機械が学習する際に参照する「どういったユーザーに効果がでるか」のデータが分散してしまうため、10万円以内の場合は1媒体に集中させましょう。
Yahoo! のリスティング広告と反響の差を検証したい場合は、このあと紹介する50万円以上の場合に検討しましょう。
■月30万円の場合の予算配分例
月額30万円を掛けられる場合はGoogleリスティングだけでなく、Gooogleディスプレイ広告にてリターゲティング配信などを始める方が多いです。リスティング広告で接触した後もリターゲティングで目に触れることで、機会損失を防ぎます。
貴社のウェブサイトへのアクセス数が多い場合は、リスティング広告とディスプレイ広告のリターゲティング配信のみでも良いでしょう。アクセスが少ない場合は「知ってもらう」を得意とするLINE広告も同時に配信し、認知拡大することで潜在層を顕在層に育てていくのがおすすめです。
■月50万円の場合の予算配分例
月額50万円からはGoolgeだけでなくYahoo!のリスティング広告配信も始める方が多いです。最低でも1ヶ月は比較してみて、結果の良い方へ予算を調整していきましょう。
予算が増えることで運用する媒体が増えますが、その分運用にかかる時間が増えるため、実際に使える時間と合わせて調整をご検討ください。
実際のサービスなどの状況に応じて、運用パターンは変わってきますので、こちらでご相談を受け付けております。
【注意】介護施設での広告規制について
「介護業界は広告規制が厳しいって聞いたけど本当?」
実際に、介護老人保健施設(通称 老健)の場合は規制が厳しいですが、介護老人福祉施設(特養)や居宅系介護サービス、有料老人ホームの場合は、注意事項はあるものの、特別厳しいわけではありません。
介護施設の広告規制に関する詳細は、春田法律事務所さんのこちらの記事が参考になります。広告を配信する際は、注意事項を把握した上で実施しましょう。
ウェブ広告が初めての場合、広告代理店に依頼するべき?
ウェブ広告を実施するには、実際の配信設定などに専門知識が必要なため、初めて運用される方は広告代理店への依頼を検討されることもあるでしょう。ここでは、広告代理店に運用を委託するメリット・デメリットをまとめました。
メリット | デメリット |
初期構築から運用まで手間が省ける | 社内にノウハウが蓄積されない |
広告効果が出やすい | 代理店への手数料が発生する |
最新の情報を共有してもらえる | 運用にスピード感が出ない場合がある |
ウェブ広告において、「最新の情報を入手できるかどうか」は非常に重要です。最近だと、プライバシー保護強化の影響で、取得される情報が減ってしまい、リターゲティング配信の効果が落ちてしまいました。そのため、これまでとは別の設定で配信する必要がありますが、こうした情報を見逃してしまっていると、効果の出ない配信で費用が無駄になってしまう可能性もあります。
法律に関する規制の変更の場合だと、気づかないうちに違反となる広告運用をしてしまう場合も。ウェブ広告は、ルールや規制が目まぐるしく変わります。業務のかたわら、最新の情報をキャッチアップしていくことが難しいことを考えると、代理店に依頼するのが無難です。
一方、代理店に依頼する場合、社内に広告運用のノウハウ蓄積ができないことや、手数料が発生することはデメリットになるでしょう。また、広告運用は「運用調整」をすることで、効果を高めていくことができます。社内で内製化できれば、PDCAサイクルを回すスピードも調整できますが、代理店に依頼する場合、多くは結果報告が月に1度程度です。毎週ごとに施策を検討したい場合は、自社での運用を検討する必要があります。
その他にも下記が当てはまる場合は、代理店に依頼するよりも自社運用がおすすめです。
- 捻出できる広告費が月額10~20万円未満
- 社内リソースに余裕があり、運用チームを作って内製化できそう
- 情報面のセキュリティが厳しく、顧客の情報を外部に連携できない
これらを踏まえて「自社での運用は難しそうだ…。」という方は、ぜひ当社にお問い合わせください。まずは御社の課題からうかがい、ベストな販促策を検討させていただきます。
介護・デイサービスの業界のウェブ広告 まとめ
昨今では50~60代もスマートフォンの利用が増えてきているため、介護業界でもウェブ広告が有効といえるでしょう。また、ウェブ広告では届けられる人が多いだけでなく、「施設から半径3km以内に住んでいる60代で、介護に興味のある人」などの精度の高いターゲティングができることが大きなメリットです。今回おすすめしたGoogleリスティング広告、ディスプレイ広告のリターゲティング配信、LINE広告などを視野に入れて検討してみてください。
初めてのウェブ広告ではまだまだ不明な点が多いと思います。弊社であれば今回紹介しきれなかったコツも合わせながらご支援することが可能ですので、お気軽にお問い合せください。