介護人材の求人方法　効果的な集客手法を紹介

「介護職の人材確保が思うように進まない」「人材募集の費用を抑えることはできないだろうか」と悩まれている方へ向けて、介護人材の求人方法をより効果的に実施する手法を紹介します。求人媒体への出稿からチラシのポスティング、ウェブ広告などさまざまな方法がありますが、大切なのは「エリア」「ターゲット」を見極めることです。顕在層・潜在層などターゲットごとに適した求人募集のコツについてもまとめているので、効率的に人材募集を行いたいご担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

求人媒体に出稿する

介護業界で人材を募集したいと考えたとき、まず思い浮かべるのは求人媒体、求人のポータルサイトへの掲載ではないでしょうか。しかし、正直なところこの方法での募集はかなり難易度が高いといえるかもしれません。というのも、募集要項はどの企業も同じフォーマットに沿って掲載されるため、非常に差別化が図りにくいのです。知名度が高い企業やブランド力が高い企業とも並ぶことになりますし、中小企業にとっては、求人に掛けられる費用面で大手企業に太刀打ちすることは難しいはずです。自社の強みや訴求ポイントがしっかりと伝わるキャッチコピーや画像などが必要になるでしょう。

求人媒体へ出稿する場合、ほかの業種の求人広告に埋もれないためにも、介護職専門の媒体へ掲載するのがおすすめです。介護職は一定のスキルや有資格者を優遇する傾向にあり、一般的な求人広告に掲載しても思うような人材に出会えない恐れがあります。その反面、介護職専門の求人媒体なら、始めから介護の仕事を探している求職者が訪れます。仕事内容や働き方に関するミスマッチを防ぎ、ピッタリな人材を見つけられる可能性が高まるでしょう。

また、掲載先を選定する際にチェックすべきなのは「費用がどのように発生するのか」です。求人媒体には、掲載自体に費用が発生するタイプから採用実績に基づく成果報酬型までさまざまな料金形態があります。

各サイトの特徴などを一覧表にしてみたので、選定時の参考になれば幸いです。

チラシのポスティング

チラシのポスティングは、介護業界的に見ても根強く利用されている求人方法の一つです。新聞折込チラシと比べて、地域に広く情報を届けられるのが強みだといえます。ただし、他のチラシに埋もれてしまわないような工夫が必要です。配布が多い週末や、不動産チラシが入ることの多い木・金曜日は避けるとよいでしょう。

すでにポスティングを実施されている企業様の中には「配布部数を決めて施設周辺に配る」というやり方を採用しているところが多く見受けられます。この方法は、施設の認知を目的としている場合は有効ですが、人材を募集するという目的には少々不向きかもしれません。

とはいえ「これまでのやり方から変えて反響が全くでなくなったらどうしよう」という不安から、反響数が伸び悩んでいてもやり方を変えられない方も多いのが実情のようです。

そこでおすすめなのが、エリア選定に商圏分析を取り入れる方法です。例えば、過去に面接を申し込んだ人や現在の従業員の住所データを地図上に落とし込んでみるとポスティングの効果が出やすい地域や、商圏内のエリアが浮き彫りになります。

東京都内のエリアで40～60代の年齢層の傾向と、過去応募者・現職者の住所をプロットした場合のイメージ

さらにターゲティングの精度を高めたいなら、地域の居住者の年齢層も掛け合わせて表示するのが有効です。年齢層でターゲティングすると、反響率アップが見込めます。例えば、ヘルパーとして採用する層は比較的年齢層の高いケースが多いため、それに合わせたチラシデザインにするとより効果的です。人材募集のチラシ作成では、1枚のチラシに複数の募集職種を掲載するのではなく、1枚につき1職種に絞ってアピールする方が、よりターゲットに刺さりやすくなります。

求人媒体やウェブ広告は、掛ける費用とユーザーの目に留まる確率が比例しますが、チラシの場合は、大手企業も中小企業も、1度に配布するのは1枚です。だからこそ、チラシの内容の工夫次第で反響を出せる求人方法といえるのです。ポスティングにより良い人材を確保したいなら、内容をしっかりと吟味することをおすすめします。

なお、デイサービスのポスティングについては、こちらの記事でまとめていますのでぜひご覧ください。

新聞折込チラシ

近年、新聞の購読者層は50代以上が多くを占めています。そのため、50代以上の年齢層へ向けた介護職の求人方法として新聞折込チラシを利用するのは良い方法だといえます。中でも、介護のサポート業務に従事するスタッフの募集に向いている求人方法といえるでしょう。

新聞折込チラシは、積極的に採用している介護業界の企業はそれほど多くはありません。そのため、あえてこの方法を利用することで目に留めてもらえる可能性がある、と捉えることもできます。サポート業務として募集する場合、パートタイムが主な雇用形態と考えられるため、自転車や徒歩で通える2.5kmほどの範囲内に配布するのが妥当でしょう。

配布はポスティングと同様に、月・火・水曜日が狙い目です。木曜日から週末にかけては、折り込まれるチラシが多いため埋もれてしまう恐れがあるため避けた方が無難です。

また、配布する際はD4サイズ用紙を選ぶのがおすすめです。新聞折込チラシはB4サイズが一般的ですが、D4はB4と比べて少し大きくて目立ちます。ただし、費用を抑えたい場合はA4サイズで作成すれば、ポスティング用のチラシと併用しやすいでしょう。

ウェブ広告

ここではウェブ広告の中でも、介護職で特におすすめの3種類を紹介します。

それぞれターゲットや特徴が異なるので、求職者のターゲット像を定めた上で活用するのがよいでしょう。

リスティング広告

リスティング広告は、ウェブ広告の中でも確度が高いユーザーに向けて発信します。Googleなどで、検索したKWに合った広告を表示できるため、既にニーズが顕在化している層にアプローチでき応募につながりやすいといえます。検索結果上で「スポンサー」と記載のあるものがリスティング広告です。

特に、有資格者や正社員の採用に向いているといえるでしょう。正社員やフルタイム希望の求職者は、通勤時間を長めに確保できることから職場を自宅周辺に限らずに探す傾向があります。そのため、エリアを絞り込み過ぎずに、これらの人達の目に留まるような見出しや説明文で作成することが重要です。また、年齢層としては20代〜30代の採用がメインになるため、自分たちでネット検索できる層にアプローチしやすい点もメリットです。

ただし、介護職の求人に関連するKWは、需要が高いため広告費用も高騰しています。「介護　正社員」「介護　訪問」といった介護職の形態に関するKWや、エリアで絞りたい場合は「介護　求人　八王子」など絞り込んで対策していくことが前提となるでしょう。

Google、Yahooのディスプレイ広告（GDN、YDA）

GDNとYDAはGoogle、Yahooそれぞれが取りまとめている広告枠に、バナー（画像）を表示させる広告です。準顕在層に向けたアプローチに適しているウェブ広告だといえます。

GDNやYDAは、ユーザーの検索履歴から「どのようなことに興味関心があるか」「年齢・性別」などの情報を基に、配信対象を分類できるのが特徴です。閲覧したサイトがどのようなカテゴリー（健康食品、化粧品、自動車…など）に属するか、という情報も組み合わせて、それに合致するサイトの広告枠に表示させる仕組みになっています。

GDNやYDAは配信エリアを指定することもできます。介護補助者やドライバーなどのパートタイマーを募集する際は、エリア指定を行いましょう。

ジオターゲティング広告

エリアを絞り込んで配信できるウェブ広告の代表例に、ジオターゲティング広告があります。例えば、施設周辺のエリアを任意の線で囲い、そのエリア内だけに広告を配信することが可能です。

配信エリア指定の例

関連記事　ジオターゲティング広告とは？メリットデメリットをやさしく解説

ジオターゲティング広告は、介護補助者やドライバーなどのパートタイマーを募集する際の広告として向いているでしょう。正社員の場合は、応募者が立地よりも企業情報を重視する傾向にあるため、細かなエリア指定はそれほど有効ではありません。一方、パートタイマーは施設周辺から通うことが多いため、既存のパート在籍者が通っているエリアをデータに落とし、その範囲内に配信すると効果が見込めるでしょう。

また、ジオターゲティング広告はあくまでも「認知拡大を目的とした広告」である点に注意が必要です。リスティング広告とは異なり、直接応募につなげることを得意とするわけではありません。ジオターゲティング広告ならではの特徴を踏まえ、新たに施設をオープンした際などに活用していくといいでしょう。

ジオターゲティング広告の他にも、画像（バナー）を表示させるウェブ広告のGoogleやFacebook、Instagram、LINEなど、各種のバナー広告でエリアを施設から半径指定することが可能です。各媒体の配信エリアの範囲や特徴をまとめた表を作成しましたので、参考になれば幸いです。

関連記事　ジオ広告だけじゃない！地域指定ができる4つのウェブ広告メリット・デメリット

求人募集のコツは「エリア」を見極めること

紹介したすべての求人方法に共通していえるのは、「エリア」を絞り込んでターゲティングするということです。

介護職ではテレワークを適用できません。また、人材確保が難しい介護業界において、週1回からでもシフトに入れる人材を募集するには、片道1時間以上かけて通勤する人を採用するのは現実的ではないと考えられます。沿線30分圏内や、施設から30分圏内などで通勤が可能なエリアに居住している人にターゲティングをして、募集をかける必要があるでしょう。

ターゲットエリアが見える化できるDEECH（ディーチ）

「施設から30分圏内」などのエリアを効率的に調べるには、エリアマーケティングツールDEECHがおすすめです。DEECHはGoogleマップ上で、販促したいエリアの居住者属性などを色分けして見える化できるツールです。あらかじめ反響が出そうなエリアを、分析結果から仮説を立てて配信すれば、費用対効果アップにつながるでしょう。

反響分析機能を使って、実際に配信した広告で反響があったエリアを地図上にプロットすれば、特にどの辺りからの反響が高かったのかも一目瞭然です。ポスティングと新聞折込は、エリア選定をした後、そのまま発注もできます。DEECHの無料トライアルを実施中ですので、ぜひお試しください。

介護職の求人方法まとめ

来る2025年には、団塊の世代が75歳以上を迎える、いわゆる「2025年問題」が目前に迫っています。介護業界の人材不足は拡大していく見通しです。

高齢者が増加するのに合わせ、介護施設も増えるでしょう。介護人材の奪い合いは、ますます激しくなることは明らかです。優秀な人材という「質」を確保するにも、まずは応募の母数を確保すること自体が一層困難になります。だからこそ、採用に至る前段階である「募集」をいかに効率的に実施できるかが重要なのです。この記事で紹介した、エリアを絞った販促策を展開することで、効率的に求人募集をしましょう。