ジオターゲティング広告とは?メリットデメリットをやさしく解説
最近、集客や販促に関連するシーンでよく耳にするようになった「ジオターゲティング広告」。聞いたことはあるけれどよく分からない、実際のところ効果はどうなのか、という印象のお持ちの方が多いようです。ジオターゲティング広告の概要や特徴、何ができるのか、メリットデメリットなど、「ジオターゲティング広告とは?」にズバリお答えします。
目次
ジオターゲティング広告とは・概要
ジオターゲティング広告とは、スマートフォンで取得した位置情報データからターゲットを定め、そのターゲットに対してWEB広告を配信できるサービスのことです。GPS、Bluetooth、Wi-Fiなどによって位置情報を取得し、特定のエリア内で興味関心があると想定されるターゲットへの認知につながります。
例えば、「過去1カ月以内に、〇〇ドームに野球の試合を見に来た人」「過去3カ月間で、転職イベントに3回以上来場した人」など、任意で特定の期間内に特定のエリアにいたユーザーを指定し、広告を配信することが可能。顕在層へのアプローチはもちろん、新商品や新サービスについての認知啓蒙など、潜在層に向けたアプローチも得意とする広告です。
ジオターゲティング広告の特徴
ジオターゲティング広告の特徴は、「過去に特定の場所に行ったことがある人」を位置情報データから抽出し、その人に向けたWEB広告配信ができるサービスです。
位置情報は、「どこにどのくらいの時間その人がそこにいたのか」という情報。つまり行動履歴そのものであり、その人の趣味嗜好が反映されていると考えられます。これは、数あるWEB広告の中でも、ジオターゲティング広告ならではの特徴です。
どのように位置情報が取得されているのか気になる方は、「ジオターゲティング広告の仕組み どうやって配信される?」の項目を先にご覧ください。
例えば、ライブ会場、音楽スタジオ、楽器店などを一定期間内に複数回訪れている、という位置情報の履歴がある人は、音楽に興味関心があることが予測できますよね。その人に向けて、音楽ライブイベントやカラオケ店などのターゲット層として広告配信すれば、効率的なアプローチになるというわけです。
ジオターゲティング広告でできること
ではここで、認知拡大にピッタリのジオターゲティング広告が具体的にどのようなことができるのかについて紹介していきます。
①広告を見た人が来店したかどうかが分かる
位置情報から、広告を配信したユーザーが実際に来店したかどうかが分かります。バナー広告をクリックして来店したユーザー数や、クリックせず表示だけで来店したユーザー数を計測できます。ただし、人通りが多いところや、ビル内の店舗などは計測が難しいこともあります。
②コストを抑えた効率的な配信が可能
位置情報を活用すると、ターゲットとするお客様の生活エリアや、過去訪れた場所をある程度特定できます。エリアを絞り込んだ上で配信できるということは、ターゲットではない人への広告配信のバラマキが抑えられるということ。極力無駄のない広告配信ができれば、コストを抑えることにもつながります。反応率を高めることにもなるでしょう。
③地域密着型の店舗集客にピッタリ!
ジオターゲティング広告は配信エリアを柔軟に設定できるので、特定のエリア内の販促の親和性が高いです。ネットから実店舗への来店に誘導するOtoO(Online to Offline)の施策としても有効といえるでしょう。「店舗から半径〇km圏内」などエリアを指定して、その圏内で位置情報を検知したユーザー向けに広告配信をするので、ユーザーに取っても近くの店舗の情報が届くことで利便性が高まります。
④潜在顧客を顕在化できる
ユーザーの行動履歴を追えるので、そこからどのような趣味嗜好があるのかなど、その人物がおのずと浮かび上がってきます。こうして顕在化した顧客層にターゲットを絞り込んでアプローチできるのです。 こうした指定は、チラシやDMなどの販促ではもちろん、リスティング広告やWEB上の純広告では対応できません。行動履歴との掛け合わせなどで詳細なユーザーの属性を指定した広告配信は、ジオターゲティング広告だからこそできることなのです。
⑤配信結果から、より最適な配信を分析・改善できる
ジオターゲティング広告を含むWEB広告は、配信した後に広告がどれだけの人に表示、もしくはクリックされたかを確認することができます。また、ユーザーが広告からお問い合わせに至るまでにどのようなページを閲覧したか、どのページで離脱(ページを離れること)してしまったか、なども確認できます。配信結果を見える化して、現状を分析し、改善に生かせます。
ジオターゲティング広告のメリット・デメリット
ジオターゲティング広告だからこそできることを紹介してきましたが、一方で、他の広告と比較すると、ジオターゲティング広告にもデメリットがあります。ここではデメリットをご紹介いたします。
「ジオ広告だけじゃない!地域指定ができる4つのウェブ広告」の記事はこちら
デメリット1 申し込みや購入を目的とした広告ではない
ジオターゲティング広告は、「認知拡大」や、潜在層を顕在化することを得意とするWEB広告です。ジオターゲティング広告を配信したからといって、商品の購入やサービスの申し込みに直接つながることを目的としたものではない点に注意しましょう。
デメリット2 配信結果の分析はプロに依頼するのが無難
メリットで「配信結果を見える化できるので、改善に生かすことができる」とお伝えしましたが、単純に広告の表示回数、もしくはクリック数だけを見ても、それだけで結果の良し悪しを判断することは難しいと思います。配信結果はGoogle Analytics(グーグルアナリティクス)などの無料ツールを使って確認することはできますが、どこをどう見たらいいのか、着眼点が分かっている人にチェックしてもらうことが改善への近道です。表示回数やクリック数だけで一喜一憂しないようにしましょう。
ここで、ジオターゲティング広告のメリットとデメリットを表にまとめてみました。
WEB広告と一口に言っても、ジオターゲティング広告を含めさまざまな媒体があり、それぞれに得意分野・不得意分野があります。御社が実現したいことに合わせて、媒体を使い分けたり、併用したりすることをおすすめします。
ジオターゲティング広告の仕組み どうやって位置情報が取得されている?
その人が、「いつどこにどのくらいの時間滞在していたか」が分かってしまう位置情報。「一体どうやってそんなことが分かるんだ!?」と、気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今や、一人一台が当たり前になりつつあるスマートフォン。必需品として多くの人が一日のうちほとんどの間身に着けていることから、「365日24時間、ユーザーの半径30㎝以内にあるデバイス」とも言われます。スマートフォンには位置情報サービスが備わっており、かなりの精度でユーザーの「いつどの辺りにいたのか」というデータが蓄積されているのです。
そのスマートフォンで位置情報がどのように取得されているのか、主要な3つをご紹介します。
位置情報の取得方法
ここでは、ジオターゲティング広告の位置情報取得に使われている主な方法3つをご紹介します。
①GPS(ジーピーエス)
スマートフォンにはGPS(Gloal Positioning System)機能が搭載されています。その精度の誤差は数十cm~数mです。GPSが活用されている身近な例といえば、カーナビ。現在自分がいる場所に応じて地図が表示されるのは、GPS機能が搭載されているからです。
GPSはこれまでアメリカの人工衛星を利用していました。しかし2018年11月から商用サービスを開始した日本版GPSと言われる「みちびき」により、日本に特化したGPSサービスがたくさん生まれています。これは、cm級の即位が可能な社会の到来を意味しており、スマホにおいても数年以内に測位が10cm以内になると期待されています。
②Bluetooth(ブルートゥース)
誤差は10m~100m程度です。Bluetoothをオンにしておくと、例えば店舗内での回遊経路まで計測することができます。店舗に入って特定のアプリを起動させるとクーポンやポイントを獲得できるキャンペーンなどは、Bluetoothを活用していることが多いでしょう。
また、Bluetoothは、将来の位置情報測位の大本命としても期待されています。IoT社会に向かっている現在、さまざまな機器と少ない消費電力で接続できるBluetoothは便利な社会を目指す世の中において必要不可欠な技術になっており、手元にあるスマートフォンがビーコン(Bluetoothの信号を測位できるデバイス)を介して情報を提供してくれています。
③Wi-Fi(ワイファイ)
測位の精度は数m~数十m。カフェや電車内など、さまざまな場所に「フリー(無料)Wi-Fi」が設置されているのを目にしたことがある方も多いはず。Wi-Fiをオンにしていると、これらの設置されているWi-Fiアクセスポイントに自動で接続され、位置を推定することができるようになっています。
つまり、スマートフォン上で上記のようなGPS機能などをオフに設定している場合は、位置情報は取得されません。ちなみにGPSでの位置情報はWi-FiをONにすると精度が上がります。
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自分のスマホで位置情報の取得を確認する方法
自分のスマホで「位置情報が取得されている」と言われても、具体的なイメージがわかない、という方も多いのではないでしょうか。実は、ご自身のスマートフォンでどのように位置情報が取得されているのかを見ることができるんです!
ここでは、iPhoneでの位置情報確認方法をご紹介します。①~⑧の手順に従って操作すると、ご自身の位置情報履歴を確認できます。
位置情報履歴 確認手順
- ①設定をタップ
- ②プライバシーをタップ
- ③位置情報サービスをタップ
- ④一番下にあるシステムサービスをタップ
- ⑤一番下にある利用頻度の高い場所をタップ
- ⑥以降は、各項目をタップすると、さらに詳細が表示されます
いかがでしたでしょうか。「〇月〇日△時~△時 □□県□□市□□町」と、いつどこにどのくらい滞在していたか、かなり詳細まで履歴が蓄積していることを体感いただけたと思います。
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ジオターゲティング広告活用事例 こんな場面に向いている!
では、ジオターゲティング広告はどのような場面に向いているのでしょうか。不動産会社と学習塾運営会社の2つのケースをもとに紹介していきます。
不動産会社A社様の事例
A社様では内覧イベントへの集客を目的として、商圏内にジオターゲティング広告を配信しました。配信対象は
- ・ 内覧会に過去来場したことがある人
- ・商圏内の住宅展示場に来場したことがある人
で絞り込み。 その結果、認知拡大や、アクセス数のアップにつながりました。
学習塾運営B社様の事例
B社様では、学習塾の認知拡大のため、
- ・競合の学習塾に通っている人
- ・ 各学習塾周辺の30~40代女性
に配信しました。入会の決定権を持っているお母さん達に向けて、広告配信をしたというわけです。広告を配信した結果、ウェブサイトへの訪問数アップし、認知拡大につながりました。
ご紹介した2つの事例は、いずれもBtoC向けの活用例で、当社にご依頼いただいているのはほとんどがBtoC向けの企業様です。BtoB企業様の場合はジオターゲティング広告よりも、リスティング広告など、他の広告をおすすめしています。というのも、「どこにどれだけ滞在していたか」という情報をもとに発信するよりも、「●●というキーワードで検索している」という検索履歴などの方が、その企業のニーズをとらえていると考えられるからです。
その他の業界や詳細なセグメント方法についてはこちらをご覧ください。
ジオターゲティング広告 主要サービス比較
ここで、ジオターゲティング広告の主要なサービスを3つご紹介します。
①ASE(エース)
- 提供元:フリークアウト
- 来店計測の手法:GPS
- 主な配信面:DoubleClick/OpenX/Adstir/Fluctなど
- 配信可能人数:BID:2000万UU、SDK:2000万UU
取得されたユーザーの位置情報に基づき、任意の店舗への来店者、エリアの居住者を識別・セグメント化し、Red や 各種SNS を通じた広告配信が可能です。また、広告を閲覧したユーザーが実店舗に来店したのかも計測できます。
②ジオロジック
- 提供元:ジオロジック
- 来店計測の手法:-
- 主な配信面:DoubleClick/USTREAMなど
- 配信可能人数:BID:2000万UU
車検データや新聞購読率など、ユニークなデータを活用したセグメントが可能。最低出稿金額が比較的低価格なので、初めてジオターゲティング広告を実施する方も入門として取り組みやすい。
③RealPeople(リアルピープル)
- 提供元:シナラシステムズジャパン
- 来店計測の手法:Wi-Fi
- 主な配信面:DoubleClick/OpenX/Adstir/Fluctなど
- 配信可能人数:Wi-Fi:1500万UU
ソフトバンクが出資をしており、ソフトバンクの携帯電話契約者の位置情報をベースにターゲティング広告を配信しています。
※UU=Unique User(ユニークユーザー)ウェブサイトに訪問したユーザーの数
今回ご紹介した3つの媒体以外にもジオターゲティング広告は様々な種類があり、それぞれ違った特徴があります。比較表にまとめているので、ぜひご活用ください。
まとめ
ジオターゲティング広告の全体像についてご紹介してきました。スマートフォンの普及に伴い、位置情報を使った行動ターゲティングの広告配信が可能になっています。
ただ、「どのようなサイトに広告が表示されるのか」「ターゲットの指定条件は、どのようなものがあるのか」「配信するのにどのくらいの費用がかかるのか」といったお問い合わせをいただくことも多く、これらはどのジオターゲティング広告を利用するかによっても異なります。当社で扱っているジオターゲティング広告についてご興味をお持ちいただいた方は、お問い合わせフォームからお気軽にご連絡くださいませ。