学習塾の商圏の決め方 生徒の集客数がアップするエリア分析
学習塾が商圏を知るためには、数ある商圏分析データの中でもチェックすべき項目は限られています。その必須の項目と、効果的な集客のためのデータ活用法についても紹介します。
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目次
学習塾が生徒を集客するために活用すべき商圏分析とは
そもそも学習塾が商圏を決めることは、なぜ重要なのでしょうか。ある調査によると、小学生~大学生までの子どもを持つ保護者が、塾を選ぶ際に重視するポイントとして、「教室までのアクセス」が60.4%と最も多い結果となりました。次いで多いのは価格44.5%、進学実績36.2%と続きます。つまり、価格や実績よりも、まずは自分の家から近いかどうかでふるいにかけているということです。 しかし、店舗周辺でひたすら販促策を展開することが必ずしも得策とは言えません。なぜなら、店舗からどの程度までが自店の商圏と言えるのかは店舗によっても異なるからです。また、商圏と捉ええていたエリアの中でも、潜在顧客が特に多いエリアとそうでないエリアが存在します。それらを見極めるためにも、「商圏分析」が必須となります。
商圏分析とは
商圏分析とは、国勢調査などの国の統計データや企業が持つ顧客データを活用して、特定エリアの居住者の属性や傾向などから、市場規模や地域特性をグラフなどで可視化する分析のことです。 商圏分析のデータのベースとなっているのは、国勢調査をはじめとした複数のデータです。
【商圏分析を構成するデータ】
① 国勢調査
② 商業統計
③ 商業人口
④ 年収階級別世帯数データ
⑤ 推計家計支出
⑥ リンク統計データ
商圏分析と一口に言っても、無料で利用できるものから有料のものまであります。当社で提供しているのは有料ですが、こうした国による信頼できるデータが使われているものです。また、商圏分析を行うと、40にも及ぶ項目についてのレポートが出力されます。
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商圏を知るためにチェックすべき必須項目6つとその活用法
多数の項目についての分析結果が得られる商圏分析ですが、全ての数字を見る必要はありません。学習塾が商圏を知るために、特にチェックすべき必須項目6つと、それぞれの活用方法を紹介します。
1.人口・世帯と人口特性
この項目は、エリアの居住者属性全体を俯瞰するために欠かせません。学習塾によってターゲット属性は異なり、その属性の居住者がどれだけいるのかを把握できるからです。
人口・世帯と人口特性のデータ活用方法
学習塾は、中学生を対象とした高校受験のための集団型学習塾、大学受験向けの英語に特化した専門塾、補習に強い小学生向けの個別指導塾など、塾の形態によってターゲットの年齢層が明確に分かれています。人口・世帯と人口特性は、こうした各年齢層がエリア内でどれだけ見込めるのかを検討する上でベースとなります。 「人口・世帯」と「人口特性」では、数字を細かく見るというよりも、特にエリア内の年齢別人口や年代別構成比を中心に全体をざっくり把握するといいでしょう。
2.年収特性
学習塾を利用する、子どもを継続的に通わせるということは、経済的な余裕がなければできないことです。そうした居住者がどれだけいるのかをチェックする上で有益なのが、この年収特性です。
エリア内の1世帯辺りの年収高が分かるほか、各年収階級にどれくらいの世帯数があるのかも分かります。
年収特性の活用方法
自店のエリアの可処分所得が高い・低いからといって、一喜一憂する必要はありません。大切なのは、そのデータをもとに、そのエリアの年収特性から想定される人々がどのような嗜好性を持っているのか、そしてその人達にはどのような販促が適しているのかを考えることです。 例えば、エリアの異なるA店舗とB店舗があるとします。A店舗のエリアでは世帯年収400万円前後、B店舗のエリアでは世帯年収600万円前後だった場合、A店舗ではお得感のあるキャンペーンなどで興味を引くのが向いていると考えられますが、同じ内容がB店舗のエリアの居住者にも刺さるとは考えにくいでしょう。複数店舗を運営していて、全ての店舗で一律同様のクリエイティブで訴求している場合は特に、この年収特性を一つの傾向として、クリエイティブを変更するなどが考えられます。 このように、各エリアの「傾向」を顕在化させることで適切な広告を展開し、反響を高めることにつながります。
3.消費支出特性
消費支出特性は、食料、住居、娯楽などの消費財のカテゴリー別に、エリア居住者がどれだけ費用をかけているかを数値化したものです。
当社の商圏分析で学習塾に関連するデータとしては、「教育」カテゴリーの中に下記の項目が含まれています。
・教育娯楽用耐久財
・教育娯楽用品
・書籍・他の印刷物
・教育娯楽サービス
消費支出特性の活用方法
1世帯当たりの消費額が記載されているので、指定したエリアの消費支出が、都道府県平均や全国平均と比較してどの程度上回っているのか・下回っているのかを把握するのに役立ちます。 また、新規出店するエリアなどを検討する際に、複数の候補地で特に教育娯楽に支出が多いエリアを、教育への関心度合いが高い可能性があるエリアのデータとして活用できるでしょう。
また、既存店舗で売り上げ好調店と不調店があった場合、不調店の原因を探る際にこの項目をチェックしてみるのも、原因究明に役立つかもしれません。
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4.関連キーワードが検索されているエリア
「学習塾」に関連するキーワードが、エリア内のどこで検索されたかを地図上に表すことができる分析です。
関連キーワードが検索されているエリア 活用方法
ネットでのキーワード検索は、そのキーワードについて知りたいと思うからこそ行うのであり、ユーザーニーズそのもと捉えることができます。キーワード検索のデータと、上記で紹介してきた年齢層や年収データなどと掛け合わせることで、エリア内の潜在顧客がより浮き彫りになります。 例えば、子どもを持つ親をターゲットとし、20~40歳に照準を合わせた場合、
・30~40歳人口のデータ
・「学習塾」のキーワード検索した人
の2つのデータを掛け合わせると、下記のような分析データが得られます。
傾向の度合いによって色付けされるので、エリア内のどの辺りに特に潜在顧客が多いのかが一目瞭然。今まで見落としていた販促エリアがないかどうか、実態とのブレを確認することにもつながります。
5.既存顧客がどのエリアに居住しているか 反響分析
反響分析は、地図上に利用者の住所をプロットし、自店の会員がどのエリアに居住しているのかを地図上で俯瞰して見られるものです。 既に貴社のサービスを利用している顧客や会員が、エリア内のどの辺りから来店しているのかを知ることは、商圏を知る良いヒントになります。
既存顧客がどのエリアに居住しているか 反響分析の活用方法
例えば、オレンジ色の丸が、学習塾A店の会員の住所のプロットだとします。 これまで、緑と黄のエリアから顧客が来ていないことは分かっていたものの、理由は明確になっていませんでした。しかし、このように地図に落とすことで、緑エリアとの間には川があり、橋を渡らなければならないこと、また、黄エリアには競合店があるために、来店客が少ないということが見えてきます。
このように、会員データと商圏分析データとを組み合わせて地図上で見える化することで、なぜそこに販促を展開すべきなのか、また、どのような販促をすべきなのかが浮き彫りになってきます。 特定のエリアの来店客数や、チラシに対するお問い合わせ件数などは、データの一側面にすぎません。その結果が相対的にいいのかどうかを、目に見える形にできるのは、地図を使った商圏分析だからこそともいえます。 ただ、この反響分析は、一般的な商圏分析ツールでは操作が難しく、1ライセンスにつき100万円ほどかかることもあります。当社のエリアマーケティングツールDEECH(ディーチ)では、使い方もカンタンで費用も3万円と手軽に利用できるので、ぜひ無料トライアルをお試しください。
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6.競合店分析
競合店分析は、自店と競合店舗の「吸引率」を可視化することで、自店がエリア内でどれだけ集客力があるのかが分かります。競合店分析の結果は、下記のようなイメージになります。ここでは、エリア内の4つの店舗を色分けし、それぞれの集客力が及んでいる範囲が色付けされています。
この分析は、「ハフモデル」という分析方法で行っています。「店舗の魅力値」と、「居住地から店舗までの距離」の2つが分析要素となっており、競合店舗のテリトリーを見ることができます。
競合分析の活用方法
「店舗の魅力値」は、居住地から店舗までの距離以外で、その店舗を選択する理由によって重みづけをして、算出されています。例えば、下記のような項目です。 ↓作成する これらの項目は、ユーザーが実際に自店を選択した要因になっていることをベースに、その要因の影響度合いによって重みづけを変える必要があります。ユーザーが店舗を選択する理由についてのリサーチ方法は、アンケートやSNS、口コミ調査などがあります。 この項目は、競合店舗と数値で比較する必要があるため、あくまでも数字で計測できるものが対象となります。例えば、下記のようなものです。
・講師の質
・価格
・進学実績
・教室の雰囲気
利用者や企業によっても魅力度にはばらつきが出るはずなので、一概に計測することは難しい部分もあるでしょう。
他店よりも優れている点はどのようなことなのかなどが見えてくるかもしれません。自店の強みを伸ばし、弱点を克服するためのデータとして活用しましょう。
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学習塾 商圏を知るメリット
商圏分析をしなくても「自店の商圏はだいたい把握している」と思うかもしれません。確かに、長年地域密着で運営してきた店舗であれば、そのエリアに根ざしているからこその経験と勘も、独自のデータとして有用でしょう。しかし、数値でデータ化された商圏は正直です。ここでは、商圏を知ることによって得られるメリットを紹介します。
既存の商圏見直しで潜在顧客の発掘につながる
商圏分析をすることで、今実施している販促のエリアに本当にターゲットはいるのかどうかが、数値に表れます。今まで重視していなかった身近なエリアに実は潜在顧客がいたり、一方でいつも「とりあえず」で販促していたエリアは実は見込みが極端に薄いエリアだったり…そうしたことを把握できてこそ、「商圏を知る」ことになるのです。
例えば、住宅地が密集しているが競合店舗が少ないエリアがあるとしたら、そこに潜在顧客がいる可能性は高いですよね。こうしたエリアを発掘することは、アナログの地図では不可能です。商圏分析は、こうしたことも浮き彫りにします。
限られた予算を有効活用し費用対効果アップ
販促費は、できるだけ費用対効果が高まるように活用したいものです。商圏が明確になることで、店舗周辺にどのような属性(年収、賃貸か持ち家か、年齢性別など)の人が住んでいるのかが分かり、店舗周辺エリアの中でも特にどの辺りに潜在顧客が集中しているのかが見える化されるため、エリアの中でも特に優先して販促を展開するべき地域はどこなのかが明らかになります。
また、商圏分析では御社が蓄積してきた購入者や会員データなどを地図上にプロットして俯瞰してみることも可能です。御社の商品・サービスのターゲットとなりうる居住者が特に多いのはどのエリアなのかを明確にすることは、費用対効果を上げることに直結します。エリア内で優先順位を付けることで予算を有効に活用できます。
新規出店する際に戦略的に販促を展開できる
「立地」は店舗を運営していく上で重要な要素。出店地は、自店にできるだけ有利な立地を選びたいですよね。商圏分析は事実に基づいた客観的なデータをもとに候補地を比較できるため、どのエリアが自社の展開する商品・サービスに有利なのかはおのずと導き出されます。
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学習塾の商圏まとめ
集客施策を展開するに当たって、反響率や費用対効果は無視できません。「なんとなく」でチラシを配ったりウェブ広告を配信しているエリアには、見込みの少ないエリアが含まれている可能性もあります。こうしたエリアを事前に予見た上で、販促すべきエリアを明確にできるのが商圏分析です。紹介した6つの分析項目を重点的にチェックし、自店の商圏を見極めましょう。
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